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ユニバーサルデザインってなに?

東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、内閣府がユニバーサルデザイン2020行動計画をとりまとめたこともあり、近年特に関心が高まっている「ユニバーサルデザイン」。

コルテクネでは、できる限り多くの人が利用しやすいWebサイト・アプリケーションを目指して、開発方針に「ユニバーサルデザイン」の考え方を取り入れました。

Webにおけるユニバーサルデザインへの取り組みをさらに広めていくため、Webユニバーサルデザインに関する情報を皆さんにお届けしていきたいと思います。

第1回目となる今回は、その大元にある「ユニバーサルデザイン」の基本的な考え方や原則をご紹介いたします。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインとは、

“改造や特殊な設計をせずに、障害の有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、
最大限可能な限り、すべての人が利用しやすいように製品やサービス・環境をデザインする”

ことを言います。

こう聞くと、「バリアフリーとどう違うの?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
私自身、社内で開催されたユニバーサルデザイン勉強会に参加するまで、明確な違いを意識したことがありませんでした。

ユニバーサルデザインとバリアフリー

「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」では、考え方と対象に違いがあります。

ユニバーサルデザイン

考え方
バリアを取り除くのではなく、最初からバリアが発生しないようにデザインする。

対象
すべての人

バリアフリー

考え方
障がいのある人が社会に出て生活をする上で、バリア(障壁)となるものを取り除く。

対象
障がいのある人


身近な例で、「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」の違いを考えてみます。

例えば、駅で見かける<<車いす用昇降機>>。

車いす用昇降機を利用すれば、車いす利用者は車いすに乗ったままの状態で、階段や段差を安全に移動することができます。これでバリアフリー化はできましたが、車いす利用者専用のため、階段での移動が大変な“ベビーカー連れの方”や、“松葉杖の方”は利用することができません。

これをユニバーサルデザインで解決できるのが、<<エレベーター>>です。

エレベーターであれば、車いす利用者以外にも、階段では移動がしづらい“ベビーカー連れの方”、“松葉杖の方”も利用することができます。さらには、“体調の悪い人”や“荷物をたくさん持っている人”も利用可能で、階段よりも楽に移動することができるため、多くの人にメリットがあります。

また、車いす昇降機は、作動中は安全のために音や光で周囲に知らせることが多く、利用者の意に反して注目を浴びてしまうことがしばしばありますが、エレベーターであればそのようなこともありません。

ユニバーサルデザイン、バリアフリーのイメージ図

ユニバーサルデザインのポイントは、このように
「障がいのある人の専用品ではなく、さまざまな状況の人が利用できる」
「多くの利用者にとって、ユーザビリティが高い」
という点にあります。

ユニバーサルデザインの7原則

では、実際にユニバーサルデザインを取り入れようと考えるとき、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。

ユニバーサルデザインにおいて配慮すべきことは、7つの原則にまとめられています。

①誰にでも公平に利用ができること
②使う上での柔軟性が高いこと
③簡単で直感的に使えること
④必要な情報が知覚できること
⑤失敗に対し寛容であること
⑥身体的な負担が少ないこと
⑦近づき使うための十分な大きさ・空間があること

7つの原則といっても、すべてを満たす必要はありません。
あくまで、ユニバーサルデザインには上記の7原則のような特徴がみられる、ということであり、必要なものを適切な視点で選択して利用することが大切です。

ユニバーサルデザインは「比較」の考え方

ユニバーサルデザインに取り組む上で、心得ておくべきことは、
“完璧なユニバーサルデザインは存在しない”
ということです。

あくまでも、「AとBのデザインを比べると、Bのほうがたくさんの人が使えるし、使いやすいよね」という、「比較」の考え方になります。

ドアノブを例として、考えてみましょう。

左には丸いドアノブのイラスト、右にはレバー型のドアノブのイラストがあります。

左のドアノブは、従来よく見られる取っ手が丸くなっているドアノブ(丸いドアノブ)。
右のドライブは、取っ手がレバー型になっているドアノブです(レバー型ドアノブ)。

レバー型ドアノブは、丸いドアノブに比べて、軽い力、単純な動きで押すことができるため、背の低い子どもや、握力が低下しやすい高齢者、車いす利用者にとって使いやすいでしょう。また、両手がふさがっている人も、肘でドアノブを押すことができます。

このように比較をしてみると、丸いドアノブよりも、レバー型ドアノブのほうが、よりたくさんの人が利用できるため、「ユニバーサルデザイン」といえます。

しかし、ユニバーサルデザインといえるレバー型ドアノブでも、ドアノブに手が届かない人や、自分の意思で身体を動かすことが難しい人は、使うことができません。

世界中には、多種多様な身体的特徴や能力を持った方がいて、デザインの対象を利用する状況も様々です。
特定の身体的特徴や能力に合わせてデザインすると、他の人には使いづらくなってしまうということもあります。

どれだけ配慮をしても、世界中のすべての人が快適に利用できるデザインは、残念ながら存在しないでしょう。

そのことは理解した上で、「より多くの人が使える、使いやすいデザイン」を考え続け、製品やサービス・環境に反映していくことが大切なのだと思います。

今回は、ユニバーサルデザインの基本的な考え方や原則について、ご紹介しました。

「ユニバーサルデザイン」の考え方は、建築物や製品に限らず、世界中の誰もが自由にアクセスできるWebにおいても取り入れることができます。

今後の記事では、「Webユニバーサルデザイン」についてさらに深掘りして、お伝えしていきます!

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